遺品整理は、スムーズに終えたい気持ちがあるのと同時に、故人の思い出を振り返りながら丁寧に行いたい作業ですよね。
実は、遺品整理を行う際に捨ててはいけないものがあるのをご存知でしょうか?
間違って捨ててしまったことが原因で手続きが頓挫したり、親族間でトラブルになったりする恐れがあるため注意が必要です。
今回は、遺品整理を始める前に確認しておきたい、捨ててはいけないものや残しておくと良いものを紹介します。
遺品整理で捨ててはいけないものは大きく2種類
遺品整理において、捨ててはいけないものは「手続きに関連するもの」と「故人にまつわる品」の2種類あります。
遺品整理作業に着手する前に、確認しておきましょう。
相続や金銭・手続きに関するもの
遺品整理では、相続に関わるものを処分するのはNGです。法的手続きが必要になるため、必ず残しておきましょう。
また、申請や解約などの各種手続きに必要な書類や契約書なども、保管しておくと安心です。
具体的にどのようなものを法的に処分してはいけないのか、次項で紹介していますのでぜひ参考にしてください。
故人にまつわる品
故人にまつわる写真や手紙・郵便物、思い出の品、資産価値のあるものも、遺品整理で処分しないように注意しましょう。
形見分けの際、故人にゆかりのある人へ譲渡する場合に必要になることがあるためです。
また、資産価値のある品は相続に関連するケースがあるため、勝手に処分や売却しないことが大切です。
遺品整理で絶対に捨ててはいけないもの
遺品整理では、法的手続きが必要になる場合に備えて絶対に捨ててはいけないものがあるため注意が必要です。
ここからは、遺品整理で絶対に捨ててはいけないものと、保管しておかなければならない理由を紹介します。
遺言書
遺言書は、遺品整理で絶対に捨ててはいけないものの1つです。相続に関する公正証書遺言や秘密証書遺言だけでなく、自筆証書遺言にも注意しなければなりません。
遺言書ではなくエンディングノートの場合、法的効力はないものの故人の遺志が記されているため、同じく保管しておきましょう。
現金
現金も、遺品整理で絶対に捨ててはいけません。また、勝手に譲渡や分配するのもNGです。
遺産相続の対象になるだけでなく、そもそも現金を廃棄することは貨幣損傷等取締法によって禁止されています。
家具や家電の裏などに隠されたへそくりなどを誤って処分しないよう、十分に注意しましょう。
通帳・印鑑
通帳や印鑑も、捨ててはいけないものに該当します。通帳の取引履歴から、解約手続きが必要なものやローンの有無なども確認できるためです。
また、通帳を廃棄してしまうと、口座内に残された遺産を引き出すことが難しくなります。
引き出す際には、戸籍謄本や遺産分割協議書などの必要書類と通帳・印鑑を揃え、銀行で手続きを行いましょう。
身分証明書・カード
故人の身分証明書やカード類も捨ててはいけません。故人の名義で契約してある商品やサービスの解約手続きの際、提示を求められることがあるためです。
また、パスポートや運転免許証などは、発行元に返還する必要も出てきます。そのため、勝手に処分せず、各種手続きを終えるまで保管しておくことが大切です。
遺品整理をスムーズに進めるために残すべきもの
ここからは、法的に保管義務がないものの中で、遺品整理をスムーズに進めるために残すべきものを紹介します。
支払通知書・明細
支払通知書や明細は、公共料金やローン、定額(サブスクリプション)サービス等の利用履歴の確認や解約手続きに必要となるものです。
とくに支払通知書は、料金がどこから引き落とされているかはもちろん、契約状況等も詳しく確認できます。もし期限の切れた通知書が見つかった場合は、すぐに対処しなければいけません。
解約手続きを行う際にも支払通知書や明細でわかる情報が必要になるため、一通りの手続きを終えるまでは、できる限り保管しておきましょう。
鍵
遺品整理をしていると、さまざまな鍵が出てくることがあります。どこの鍵かわからない場合でも、ひとまとめにして保管しておくと良いでしょう。
例えば、家や引き出し、金庫、自動車、倉庫などの鍵です。解約手続きや売却の際に必要になるため、保管しておく必要があります。
なお、金庫や倉庫の中に資産価値のあるものが入っていると、相続の対象となるため注意が必要です。
故人宛の郵便物
故人宛の郵便物も、残しておくと遺品整理をスムーズに進めることができます。
手紙やハガキ、年賀状などは、故人の訃報を伝える際に必要です。
また、賃貸物件などの引き払いに伴う郵便物の停止や返還、転送の手続きでも、これらの郵便物が活用できます。
デジタル遺品
デジタル遺品とは、スマートフォンやパソコンといったデジタル機器、およびそれらの中にあるデータを指します。スマホやパソコン内に保存された写真や動画なども、デジタル遺品に含まれます。
SNSやネット口座、サブスクリプションサービスの利用状況や契約情報を確認する際には、それらサービスにログインするためのメールアドレスやID、パスワードが必要です。ほとんどの場合、スマホやパソコンの中に情報が保存されています。
遺品整理の際に優先して仕分けたいもの
遺品整理を行うタイミングに決まりはありませんが、優先して仕分けしておくとスムーズに進められるものがあります。
どんなものを優先して仕分けるといいか、作業前に必ず確認しておきましょう。
売却できそうなもの
遺品整理では、資産価値のあるものや売却できそうなものは優先して仕分けておきましょう。具体的には、美術品や骨董品、貴金属、高価な家具や家電、趣味のコレクション品などです。
資産価値のあるものは相続の対象となるため、優先して仕分けを行う必要があります。
ただし、仕分けの際に勝手に売却するのではなく、遺言書の内容や親族の意見を確認してから判断することが大切です。
レンタル・リース品
遺品整理では、レンタルやリースで利用しているものも早めに仕訳けて返却する必要があります。
- Wi-Fiルーター
- ウォーターサーバー
- 介護用品
- 車
- 家具・家電
- 絵画
- 美容関連品
- バッグや宝石などの服飾品
これらのものは、借り続けているとその期間の利用費がかかるため、早めに解約手続きを行いましょう。
借りているものを返却する際には、解約手続きを同時に行うとスムーズに作業が進められます。
故人の思い出の品
故人の思い出の品も、仕分け作業を早めに行うことが大切です。不用意に捨ててしまうと故人との思い出が失われてしまうため、自己判断で処分してしまわないよう注意が必要です。
残すか処分するかを判断する際は、形見分け時に引き取りたい人がいないかを必ず確認しましょう。
保管場所に困る大量の写真などは、データ化して保存する方法もあります。データ化しておけば、保管場所も劣化も気にせず残しておけます。
捨ててはいけないものを判断するには
捨ててはいけないものを判断するには、どのようなことを意識すれば良いのでしょうか。
ここからは、捨てるべきか迷った際の判断基準や、誤って捨ててしまわないようにするためのポイントを紹介します。
生前に話し合っておく
生前のうちに、亡くなった後の遺品整理の進め方や、遺しておきたいものを話し合っておくことが大切です。
可能であれば生前整理を行い、物品を減らしておけると作業の手間も軽減できます。また、どの品を誰に譲るか決定しておけば、作業がよりスムーズです。
本人の意思確認に加え、実際に作業を誰が担当するのか、作業を進めるタイミングなども合わせて検討しておきましょう。
遺書・エンディングノートを確認する
遺品整理で捨ててはいけないものを判断するには、作業を始める前に遺書やエンディングノートを確認することが大切です。
最初に遺書やエンディングノートを確認すれば、残しておかなければならないものや、早めに仕分けが必要なものを判断できます。
作業中に確認した場合、すでに処分してしまって後戻りできない状況になる可能性があるため注意しましょう。
専門家に相談する
遺品整理で捨ててはいけないものか判断できない場合や、作業をスムーズに進めたいときは、専門家に相談するのもおすすめです。
相続に関する行政の相談窓口を活用する以外には、遺品整理業者へ相談する方法もあります。遺品整理業者ならではのプロの視点で、スムーズな作業方法や捨ててはいけないものをアドバイスしてもらえます。
状況に応じて遺品整理を業者に依頼することもできるため、困ったときは一度相談してみると良いでしょう。
遺品整理で捨ててはいけないものまとめ
遺品整理では、絶対に捨ててはいけないものがあります。そのため、事前になにを遺しておかなければならないのか、確認しておくことが大切です。
また、遺品整理をスムーズに進める上で優先的に残したいものや、仕分けを早く行うべきものもあります。
作業をスムーズに進めるためには、生前整理や話し合いを行っておき、状況に合わせて遺品整理業者の活用も検討しましょう。
- 生前にしっかりと話し合うことができればベストですが、それが難しいケースも多々あります。家族や親戚としっかり話し合うことはもちろん、必要に応じて遺品整理士等専門家も活用することをおすすめします。
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