「福祉住環境整理」という言葉をご存じでしょうか。
遺品整理や生前整理は昨今よく聞かれることが多いものの、福祉住環境整理については聞いたことがないという人も多いでしょう。
本記事では、福祉住環境整理の概要や、実施のメリットや必要とされる状況について詳しく解説します。
福祉住環境整理とは？
「福祉住環境整理」という言葉は、あまり耳慣れない人の方が多いことと思います。
そこでまずは、福祉住環境整理の意味や、似た単語との違いについてお伝えします。
高齢者や身体の不自由な人の住居を整理すること
福祉住環境整理とは、自力で片付けや整理ができない高齢者や身体が不自由な人に代わって行う整理・清掃作業を指します。
身体的に自力で住環境を整えられない人に対して行われるため、「介護整理」とも呼ばれています。
「福祉」とは付いていますが、公共事業やボランティアではなく、民間業者から提供されるサービスです。
遺品整理との違い
福祉住環境整理と遺品整理は、目的が大きく異なります。
遺品整理は、亡くなった人の持ち物や財産といった遺品を片付けることを指します。一方の福祉住環境整理は、存命であることはもちろん、身体的な問題から片付けができない人の持ち物・部屋を整理し、住環境を維持するために行います。
また、遺品整理では遺産の分配や処分も行いますが、福祉住環境整理は基本的に住環境の整備のみを行う点も大きな違いです。
生前整理との違い
福祉住環境整理と生前整理の違いは、作業の主体です。
生前整理は、自分が死んだあとのことを考え、自身の持ち物や財産を自分自身、または自分と家族で整理することを指します。自身で持ち物の行方を決めることから、終活の一環としても行われます。
自力では片付けができない高齢者や身体の不自由な人に代わって行われる福祉住環境整理とは、そもそもの作業の主体が異なるというわけです。
福祉住環境整理を行うメリット
ここからは、福祉住環境整理を行うメリットをまとめてみていきましょう。
安全で快適な住環境にできる
福祉住環境整理を行うことで、安全かつ快適な住環境を整えられ、自力での片付けが困難な人でも健全な生活を維持できます。
年齢や病気によって身体が思うように動かず、掃除ができない、ごみが出せないといったケースは多々あります。
掃除ができず、生活空間がごみであふれると健康な生活ができないうえ、病気の悪化や怪我のリスクが高まります。
介護・介助がしやすくなる
福祉住環境整理を行うことで、介護・介助をする側の負担を減らすことができます。
介護ベッドや治療機器を置く場合、かなりの場所を取るため、事前に片付けをして場所を確保しなければなりません。また、家族が介護をする場合、最初のうちは慣れないことばかりで、ストレスを感じやすいです。
福祉住環境整理を行うことで、介護しやすい環境を整えることができ、いざ介護が必要になったときも負担を抑えながら始めることができます。
転居や退去時の片付けが楽になる
福祉住環境整理をしておけば、転居したり退去したりするときの片付けの負担を軽減できます。
高齢や病気であれば、将来的に介護施設に入ったり、家族の家に引っ越すことも出てきます。転居時や退去時にまとめて掃除や片付けをするとなると、どうしても負担が大きくなります。
将来を見越して福祉住環境整理を行っておくことで、転居時や退去時の負担を軽減することができるのです。
福祉住環境整理が必要になる状況
福祉住環境整理は、必要と判断できれば、いつでも行うことが可能です。
ここでご紹介するケースでは、とくに福祉住環境整理の実施が必要となります。
自力で片付けができず住環境が悪化した時
本人が自力で片付けをしているつもりでも、身体的に手が行き届かなかったり、認知症によりごみが溜まったりすることはよくあります。
住環境が悪化していると判断したら、福祉住環境整理が必要になっているといえるでしょう。
ただし、上記のようなケースの場合は、福祉住環境整理をした上で住環境維持の継続的な支援も必要となります。
施設への入居や長期入院が決まった時
施設への入居や長期入院が決まれば、帰宅して片付け・掃除をすることは困難になります。そのため、それらの事情で家を離れる前には、福祉住環境整理を行うのがおすすめです。
頻繁に入退院を繰り返すような場合も、退院後に片付けができないケースが多いため、やはり入院の前に整理を終えておくといいでしょう。
帰ってくる時のために、定期的な空気の入れ替えや清掃も必要となります。
自宅介護や同居を始める時
自宅で介護や同居を始める時も、介護をする場所を確保することと家族の生活スペースを確保するために、福祉住環境整理が必要となります。
家に物やごみがあふれていたら、介護や介助に支障がでることがあります。また、長く一人暮らしをしていた家は、ゴミ屋敷のようになっているケースも少なくありません。
介護や同居の前に福祉住環境整理を行うことで、介護や同居開始後の負担を軽減することができます。
福祉住環境整理は誰が行う？
すでにお伝えした通り、福祉住環境整理は高齢者や身体の不自由な人に代わって行うものです。
では、具体的に誰が福祉住環境整理を行うことになるのでしょうか。
家族やヘルパー（介護員）が中心になって行う
福祉住環境整理は基本的には家族が行いますが、介護を伴う場合はヘルパー（介護員）が一緒になって片付けを進めます。
本人が大切にしているものを勝手に捨ててしまうと、関係が悪化し介護に支障がでることもあるため、物を処分する時は本人の意思や希望を必ず確認しましょう。
また、片付ける際は本人が生活しやすいように、高い収納には物を入れない、床に物を置かないなど快適な住環境を整える工夫も必要です。
業者に依頼するなら遺品・生前整理業者がおすすめ
家族が遠方にいる場合や片付けの時間が取れない場合、部屋がごみで溢れてしまっているという場合は、福祉住環境整理を業者に依頼することもおすすめです。
福祉住環境整理は、主に遺品整理業者や生前整理業者に依頼することができます。福祉住環境整地と遺品整理・生前整理は、作業内容がほぼ共通なためです。
業者の中には残念ながら悪徳な業者も存在するため、業者の選定と依頼、処分するものの判断などは、判断能力のしっかりある人が対応するようにしましょう。
介護認定を受けていれば援助を受けられる場合も
本人が介護認定を受けていれば、福祉住環境整理が保険適用になり、経済的な援助を受けることができる地域もあります。
援助の有無や内容は地域によってことなるため、ケアマネージャーや地域の相談窓口に相談するとよいでしょう。
経済的な援助を受けられない場合でも、信頼できる業者を紹介してもらえることもあるため、困った時はとりあえず相談してみることをおすすめします。
福祉住環境整理のよくある質問と回答
福祉住環境整理で具体的に行うことはなんですか？
福祉住環境整理に含まれるものとして、以下のようなことが挙げられます。
- 生活空間の整理整頓や配置変更
- 生活空間のバリアフリー化
- 照明や換気の改善
- ベッドやトイレなどの設備の改善
- 生活空間の安全対策
福祉整理とはなんですか？違いはありますか？
「福祉整理®」はメモリーズ株式会社の登録商標です。
言葉の意味や実際に行う作業は、福祉住環境整理や介護整理と基本的に同じです。
まとめ
本記事は、福祉住環境整理についてお伝えしました。
年齢や病気によって家を片付けられないという人は多く、住環境の悪化により病気や怪我のリスクが高まります。福祉住環境整理を行うことで、住環境が良くなるだけでなく、介護する側の負担も軽減されます。
福祉住環境整理は、家族だけでなく、遺品整理業者や生前整理業者に依頼することも可能です。自力で片付け・掃除ができていないと判断できる場合には、早めに福祉住環境整理を行うことをおすすめします。
- 福祉住環境整理はそこで暮らす本人はもちろん、介助・介護する人にとってもメリットがあります。自力での整理が難しい場合は遺品・生前整理に対応する専門業者への相談がおすすめです。
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